妄想劇場 40


(こちらは完全に妄想の物語です。
実在の人物や関係者とは全く関わりありません。)






CDTV 4





『ありがとうございましたー!星野源でした!』

楽しくてしんどかったけど充実した1年がやっと終わった。ゆっくり出来るわけじゃないけども。
ちょっとひと段落。また明日から怒涛のスケジュールが待っている。
その前の少しだけ気を緩める時間がこの後待っている。
打ち上げしようって言い出したのは亮ちゃん。
みんな明日は休みなの?いいなー。
オレバッチリ仕事よ?
でもみんなそれぞれに行くって言ってるし。
顔くらいは出さなきゃね…
石田くんもちょっと渋々だったけどOKしてくれたし。
かおるさんも来てくれるはず。
みんなゾロゾロと控え室へ戻る。


ただいまー。

「星野さん。みなさん。お疲れさまでした。」

かおるさんもお疲れさまー。

「わたしはミオさんたちの片付けをしてからこちらに戻りますので、それまでに着替えて下さいね。」

はーい。


かおるさんは風呂敷を持って隣の控え室へと向かった。


「源ちゃん着替えたら?」

いや、オレ一番最後だったし、みんなの方が長い時間着てるでしょ?
いーよ。オレ後で。

「そう?じゃお言葉に甘えて」


亮ちゃんが先にフィッティングルームへと消える。


「でもかおるさんの着付けほんとにしんどくないし。楽だからこのままでもいいよね」


大地くんが言う。
他のメンバーもみんな口を揃えて同意してる。
確かに。男性の着物自体がそんなにしんどいものじゃないのかもしれないけど、着崩れもしないし洋服と同じくらい動きやすい。
着物は窮屈ってどして思ってたんだろってくらい。


「これから衣装が着物の時はかおるさん呼ばなきゃね!」


なんて亮ちゃんがフィッティングルームの向こうから声を出した。


どうだろね。今回だけだから。

「もったいない。ちゃんとつなぎ止めてよ。源ちゃん。」


思いは同じです。
スモールライトで小さくしてポッケにいれて持ち歩く妄想するくらい。
着付けは関係ないけど。

みんな順番にフィッティングルームに入ってはそれぞれの私服に着替えて出てくる。
着付けするのは時間かかるのに。
脱ぐのはあっという間だな。


コンコン。

ノックの音がしてかおるさんが戻ってきた。
入れ替わりに亮ちゃん達が出ようとする。


「じゃオレらはロビーで待ってるから。」

「あれ?星野さんなんで着替えてないんですか?」

ところてん待ち


そう言ってフィッティングルームを指さす。


オレ以外結構長時間着てたから。先に脱いでもらおうと思って待ってたの。

「なるほど。
じゃ手伝いますから。脱ぎましょっか。」

かおるさん…スケベですね。ふははっ。

「なんとでも言ってください?ふふっ。」


たすき掛けを外され、袴の紐を緩められる。
ドサッと落ちる袴。ほんとにあっという間に脱がされていく。


見てました?

「見ましたよ。素敵でした。」

んふ。ありがとう。

「やっと。終わりましたねぇ。」


ホッとした顔がオレを見上げた。


ありがとうございました。

「源くんお待たせ。どーぞ。」


フィッティングルームから大地くんが出てきた。


「じゃオレも下行っとくねー。かおるさんもまた後で」

はーい。

「お疲れさまでした。」


大地くんが控え室から出ていく。


かおるさんもこの後来ることになった?

「さっき。お誘い頂きました。
わたしが参加していいのかな?と思いましたけど。」

なぁんでよ。今回の立役者じゃん。


あなたが来ないならオレも行かないくらいのダダをこねるつもりはあったのでね。
ちょっと口の端が上がってるのを自覚しながらフィッティングルームに入った。


「そんな遅くはなりませんよね?
星野さん明日もお仕事でしょ?」

あれ?オレ言ったっけ?

「あてずっぽうです…」

ふははっ。明日から出ずっぱりです…

「大変ですね…
無理しないでください?」

土日めがけて頑張ります。

「土日?」

かおるさんと初詣。

「あー。そういや約束しましたね!」

忘れてたの?ひで。

「目まぐるしい1日だったので…」


約束したの今日じゃん?
そんなに精神的にも体力的にも大変な1日だったんだな…


ほんとにねぇ

「なんだかやっと年を越せた気がします。」

オレも。


NHKホールに入る時に着てた私服に戻りフィッティングルームを出た。


「あけましておめでとうございます。
おかえりなさい。」

え?


改めて面と向かって新年の挨拶をされて驚いてしまった。


「何となく。見慣れた星野さんが戻ってきたなと思ったので。」

中身はいつもこれですよ?

「ふふっ。確かにそうですね。
さあ。皆さん待ってるんでしょ?
行ってください?
わたしは石田さんと後で行きますので。」

はーい。


着物をたたむかおるさんのそばまで行って。
忙しく動く手を止めた。
なんでって顔がこっちを向いた瞬間に。
そっと唇を重ねた。
驚いたその顔がかわいてくて笑ってしまう。


一等賞の賞品の一部。

「一部なんですか?ふふっ。」

一部ですよ?


賞品はいっきに渡すつもりはないので。
ちょっとだけスケベ心が頭をもたげる。


「ありがとう。
一等賞って言われたの嬉しかった。」


何気なく言った一等賞の言葉にそんなに喜んで貰えるなんてね。
かおるさんの嘘のない言葉に今日1日の疲れを持ってかれる気がした。


「さ。もう行ってくださいね。
皆さん待ってますよ?」

はーい。後で絶対来てね?
待ってるから。

「はい。」


マスクを付けて。リュックを背負って。
控え室を出た。


あ。石田くん。
お疲れさまー。オレ先に行っとくね。
申し訳ないけどあとお願いします。

「承知してます。」


石田くんとかおるさんは今日の衣装をかおるさんの会社に持っていくミッションが残ってる。
ホントはオレも行きたいところだけど、メンバーの手前そうも行かないから。
ちょっと後ろ髪引かれながら控え室を離れた。

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